ピーマン豊作

右下にあるチビナス君は、長ナス達の影に隠れて今日までひっそりと出番を持っていた。で、特別出演。チビナス君、固くなった皮はピーラーでとって肉野菜炒めの中に入れて食べた。とても美味しかった。(^o^) さて、ピーマン達、どうやって食べようかな。

分科会2021#3 (7月17日) 開催通知および配付資料

日時2021年7月17日土曜日 13:30 ー 15:30
場所(東京都 新宿区 信濃町 33 -4 カトリック真生会館 1Fホール)
ZOOMによるオンライン勉強会を予定。参加を予定する方は私(齋藤)までお知らせ下さい。
テーマ教皇フランシスコの思想 新カテケーシス「この地上世界を癒すために」  英語版の精読
5.Solidarity and the virtue of faith、 6. Love and the common good

配付資料

clm.277:持ち家促進政策の終焉は間近か

前前々回コラムで、持ち家が帰属家賃という仮想的「生産」を行っているとする現行経済システムの虚事を批判したマッツカートの主張を紹介した。

その矢先、昨日(20210705)の日経新聞夕刊一面に、現行経済システムにおける景気刺激策の一つである「持ち家促進政策」が終焉を迎えているのではと思わせる記事が載った。(日経有料会員ならここからアクセスできる)

記事のポイント:
 2002年から2020年の約20年間で、住宅ローン返済世帯の収入は約5%の増加に留まっているが、住宅価格は約40%上昇した。結果、住宅ローン返済世帯が抱える負債が貯蓄を上回る「負債超過」の額が約20年間で4割増えた。また、日銀の低金利政策と政府の住宅ローン優遇税制などによって住宅ローン借入額が膨らんでおり、家計が長期的に抱えるリスクが増している。住宅ローンが老後の生活を圧迫する虞(おそ)れもありそうだ。

記事の注目部分(金融緩和策と住宅ローン減税):
 金融緩和策によって住宅ローン金利は歴史的な低水準にあり、借入のハードルが下がった。中でも変動金利は銀行の優遇策もあって年0.5%を切る金融機関も珍しくなくなっている。住宅金融支援機構の21年4月の調査では住宅ローンを借りた人の68%が変動金利を選択した。/ 一方、住宅ローン優遇税制では条件を満たせば当初10年間(消費税10%が適用される住宅では一定条件を満たせば13年間)、年末の借入残高の最大1%の税額控除が適用され、返済金利より減税額の方が大きい「逆ざや」状態になりやすいことも借入額の増加につながっている可能性がある。

私の感想:
 今、住宅ローンを組もうかと考えている若い世代に是非読んでもらいたい記事だ。かつて住宅ローンを組んだ熟年世代でも、定年退職しても住宅ローンを完済していないケースは増えている。こうした場合、ローンが残っている持ち家を「リバースモーゲージ」あるいは「セール&リースバック」して老後の生活資金を工面することが「既に」常態化している。アクチュアリー数学を駆使する金融機関が、総体的には「儲けにつながる」と見ているから成立している話であり、こういった老後資金工面方法ですら、いつ「終焉」を迎えるか分からない。上記の「住宅ローンが老後の生活を圧迫する虞(おそ)れ」は既に現実のものとなっている。若い世代は、こういった「現行経済システム崩壊の予震」に感度良くアンテナを張り巡らして、「住まう家」を決めていって欲しい。

clm.275:三体Ⅲ science and stateの足音

[劉 慈欣, 大森 望, ワン チャイ, 光吉 さくら, 泊 功]の三体Ⅲ 死神永生 上コラム256で取り上げた中国SF、劉慈欣『三体』。この三部作の最終巻『死神永生』を読んだ。

中国社会が、表面的には習近平共産党政権により全体主義色を強める中、その奥深く着々と、劉慈欣のような最新科学を知る人々によって、science and state社会構造作りが深く静かに進められている、と私は感じた。

西洋社会に見られるchurch and stateではない。science and state。則ち、宗教ではなく科学が生み出す倫理観価値観と、国家(state)が生み出す倫理観価値観とを拮抗併存させ、freedom(一人一人それぞれのconscienceが許す範囲の自由)を人々が獲得していく社会構造。この構築が中国社会において深く静かに進められている、と私は感じた。

巻末のあとがきから、劉慈欣の発言を二つ拾うと:

科学技術が急速に発展する現代、SFの想像力の役目について尋ねられた劉慈欣は、「(表面に)見えているのは技術の変化に過ぎない。その奥底にある科学の原理は解明の途上にある。新たな原理が世界観に変革を強いるときにこそ、SFの出番」と答えたそうだ。

2020年8月には、日本のSFファンが投票で選ぶ第51回星雲賞海外長編部門を『三体』日本語版が受賞。その「受賞の言葉」の中で劉慈欣は次の様に語っている。
「この小説のテーマは、人類と異星文明とのコンタクトです。本書を通じて、それが単なる絵空事ではなく、非常に現実的な問題だということを描こうとしたつもりです。なぜならそれは、いつ起きてもおかしくないからです。
 もちろん、本書が描いているのは無数の可能性のうちのひとつでしかありません。他にも様々なシナリオがありうるでしょう。しかし、その全てに共通していることがひとつあります。それは、全人類がともに直面しなければならない問題だということです。人類がどの様な未来にたどり着くかは、いまの私達全員に共通する選択と努力に大きく左右されます。もし『三体』がこの点において皆さんの共感を得ることが出来たら、著者としてはこれ以上の喜びはありません」。

…前者の発言は、量子論が世界観を大きく変えることを、後者の発言は「現代の社会問題の解決に国家は無力」とのフランシスコ教皇の発言を、彷彿とさせる。

なお、『三体Ⅲ 死神永生 下巻』に『三体Ⅱ』の主人公・羅輯(ルオ・ジー)が、長期保存がきく情報ストレージとして「ぼくらの時代の光磁気ディスクは、とりわけ復元性が高かった」と発言している。私(齋藤)は、実は、35年間の会社生活の前半半分を光磁気ディスク開発エンジニアとして送った。劉慈欣、ありがとう! うん、光磁気ディスクは21世紀に入って間もなく世の中から消えたけど、素晴らしいストレージデバイスだったと私も思う。