clm.250:IBD update ~ オバマの二期目 新経済は堅調に推移

米国内国歳入庁 所得統計部 Integrated Business Data、2014年分2015年分が付け加えられた。これに伴い当サイトの関連グラフも改訂した。オバマの二期目(2013-2016)にも、新経済が堅調に推移したことが分かった。

1頁目「費用対効果の比較」:ご覧の様に米国は、1991年に経済システムを劇的に変更した。corporateを中心とする旧経済からpartnershipを中心とする新経済に移った。今回の IBD data updateで、2014年2015年もpartnershipの費用対効果(コストあたり利益率)が10%を超えて順調だったことが分かる。2009年に大統領に就任した直後、economic  substance doctrineをcodifyしpartnership経済を後押ししたオバマの「面目躍如」といったところだろう。なお今回から、この新経済を始めた民主党ビル・クリントンも載せることにした。YouTubeアイコンをクリックすると、1992年の大統領選挙テレビ討論会で、共和党パパ・ブッシュ候補をケチョンケチョンにするビル・クリントン候補の名セリフの数々を聞くことができる。この後、”It’s the economy, stupid !”(それじゃー、現行経済のままだよ、お馬鹿さん!)のキャンペーン スローガンで、選挙戦前にあった共和党パパ・ブッシュ有利の大方の下馬評をひっくり返し、地滑り的大勝を民主党ビル・クリントンは成し遂げることになる。もう、30年近く前のことであり、若い人は知らないかもしれない。是非、この歴史的質疑応答、お聞き下さい。

2頁目「全米全産業利益の構成比の推移」:これも、構成比に大きな変化はない。新たな経済が安定した構成比を占めるようになったようだ。

…ところが、御存知の通り、2016年の大統領選挙では、多くの人が意外に思ったトランプが、大方の予想では有利とみられていたヒラリー・クリントンをやぶって大統領に選ばれた。どうしてそうなったのか? これを考えるヒントを3頁目に示した。米国Tax Fooundation連邦税小規模事業税調査部が示したグラフ。ちなみにこの調査機関は、米国における税と経済の関係について、私とほとんど同じ見方をしている。IRS-SOI-IBDのまとめかたも私とソックリ。去年4月には、Corporate and Pass-through Business Income and Returns Since 1980(コーポレートとパス・スルー事業体との、1980年以来の所得と税務申告の比較)という、私とそっくりのグラフを載せてきた。ここの意見では、トランプ出現の原因は…。

3頁目「企業数では1%に満たない大企業が、民間セクター労働者のほぼ半分を雇用している」。元記事はここ。つまり依然として、人々の大半は大企業の従業員となってサラリー(定期的固定給与)をもらって日々の生活を営んでいる。だから、新経済が産業利益の大半を占めるようになったとはいえ、自分達の生活を成り立たせる上ではあまり関係がない。むしろ、旧経済の大規模corporateが栄えてくれた方が自分達の暮らしが豊かになる。こういう人々が未だほぼ半数近くいる。…このsilent majorityの声を巧に取り込んだのがトランプだった…。

...さて今回は、メルマガ会員登録をしている米国IRSから「IBD update」を知らせるメールが私のところへ舞い込んで、一気呵成に記事を書いてみた。検討が足りないところも多々あると思う。今後の修正・追記をお許し下さい。この記事は「速報」ということで…。