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分科会 2019 開催ちらし

分科会2019 flyer

今年も、左記勉強会のうち赤枠で示した「分科会」の進行役を担当することになりました。奇数月第三土曜日の午後、全五回/2019年、年間テーマ:「教皇メッセージ詳読により ”the people” についての understanding を深める」。

第一回(3月16日土曜日)は、去年のテーマ:「justiceだけでは足りない」についてザッと復習した後、 ”the people” という「よく耳にするのだが今ひとつ意味が分からない」概念について、参加者の皆さんが現時点で持つ「こんな感じかな」をお聞きし、第二回(5月18日土曜日)以降の進め方の参考にしたいと思います。

第二回以降は、2013年の就任直後から教皇フランシスコがほぼ毎年開催している「The world meeting of popular movements:神の民 諸運動の地上会合」の冒頭挨拶、2014年2015年2016年2017年を「半訳」し、そこに使われている「日本語にはない概念」を掘り起こしていくことで、”the people”についての understanding を深めていこうと思います。

追記(20190303):第二回以降は、できればWork shop形式にしたいと考え始めました。参加者が各自あらかじめ、上記リンクで示した教皇各年挨拶を読んで、「日本語にはない概念」あるいは「普通の和訳ではシックリこない概念」を見つけ出し、各回はじめにそれについて短く発題し、その後に参加者全員で自由討議に入る、というようなことを考えています。この様な形式が可能か好ましいか、もっと良い形があるか、第一回目に参加者の皆さんと相談しようと思います。

日時2019年3月16日土曜日 13:30-15:30 (奇数月第三土曜日 全五回/2019年)
場所東京都 新宿区 信濃町 33 -4 カトリック真生会館 1Fホール
テーマ教皇メッセージ詳読により ”the people” についての understanding を深める

 

分科会2018要約 「 justiceだけでは足りない」

2018年一年間にわたって、カトリック教皇フランシスコの思想を説明した。

3月 社会規範の拡張 — Is justice enough?
5月 主権者の変遷 — virtue ethicsの興隆
7月 Love God and love people — 律法全体は、この二つの掟に基づいている
9月 freedom to develop the capabilities — 特有能力の社会展開自由
11月 カトリックの経済学 — economyの本来の意味を求めて

延べ10時間の説明。そのエッセンスを話すと・・・

教皇フランシスコの思想を一言でいえば、「単なるjusticeだけでは足りない」とまとめられる。justiceの他にrighteousnessが必要だということ。それは、2015年大勅書Misericordiae Vultusいつくしみのみ顔』第21節第2段落に、以下の様に述べられている。

『もしGodがjusticeのみにこだわるのであれば、Godであることをやめることになるでしょう。そして、the law(律法、法律)の遵守のみを主張するhuman beingsと同じになってしまいます。そう、ただ単なるjusticeだけでは足りません。justiceのみに訴えることがjusticeを台無しにしてしまうことは、経験が教える教訓です。だからこそGodは、misericordiaと赦しを携えてjusticeを越えるのです。ただこれは、justiceを軽視し余計なものとしようと言っているのではありません。むしろ逆です。過ちを犯した人は報いを受けなければなりません。しかしそれだけで終わりではありません。むしろそれは、the tenderness and misericordia of Godを感じることによって回心へと向かう始まりなのです。Godはjusticeを拒みません。Godはjusticeを包み込み、私達にtrue justiceの礎である愛を体験させるというもっと素晴らしい出来事によって、justiceを越えるのです。もし私達が、パウロの時代のユダヤ人達が犯した過ちを避けたいならば、パウロがそれを非難した言葉に私達は十分に注意を払う必要があります。即ち、「イスラエルの人々は、the righteousness that comes from Godに気付かないで、自分達でそれを確立しようとし、God’s righteousnessに従いませんでした。Christこそthe lawの目標です。the lawの目標とは、faithを持つ全ての人がjustifyされることです。」(ローマ10・3-4)という非難の言葉に注意を払う必要があります。God’s justiceとは、全ての人(everyone)に与えられるmisericordiaのことであり、それは、Jesus Christの死と復活によってもたらされた恵みでもあります。即ちthe Cross of Christは、私達全員と全地上世界に対するGodのjudgementです。このことによってGodは私達に、愛と新たな命の確証を与えたのです。』

justiceだけでは足りない —とてもシンプルだが、実は今の世の中を根底から変革する力を秘めている。何故ならば、現代社会はjusticeの上に形成された倫理観を土台にしたものだからだ。justice、即ち人間たちが地上世界において正しい(just)と感じる事柄の上に、今の社会は形作られている。具体的に言えば、最大多数個人の最大happiness (地上世界に於ける幸福)を目指す功利主義倫理 (utilitarian ethics)による善悪判断の上に、現代社会は形作られている。

当初これは上手くいった。justiceを土台にしたこの社会は、1980年頃まで上手く機能した。物質的高度経済成長による豊かさを、日本をはじめ世界の多くの人々にもたらした。しかし、オイルショック (1979年)からベルリンの壁崩壊 (1989年)・ソ連崩壊 (1991年)にかけて変調が始まった。そして、サブプライムショックとリーマンショックに始まる世界金融危機(2008年)は、justiceを基礎にした社会構造が最早何をどう改めても上手くいかないこと、即ち本質的に破綻することを決定的に露わにした。

破綻は、現在の社会現象を見ても明かだ。トランプ大統領はパリ協定から離脱して地球温暖化防止よりもAmerica Firstに走り、英国もEUを脱退し「痛み分け」よりも自国利益を優先し、日本でも憲法九条が覆されかねない。私達の日常生活においても、既存のthe law(律法、法律)を遵守するか、または、身近な者達の利益を守る新たな法律を作るかに留まっている。根本的に新しい共通善を求める姿勢を失っている。

では、どうすればこの苦境を打開できるのか? フランシスコ教皇の答えは「justiceの他にrighteousnessが必要」と極めてシンプル。それはキリスト教の主祷文にも明確に記されている。即ち、御心(God’s will)が天に行われるとおり地にも行われますように。つまり、地に行われることが天でも行われるとは限らない。御心が天に行っていることは、この地上において人間達が繰り広げていることとは違うのかもしれない。

日本から世界を眺めていると気付きにくいことだが、実は50年ほど前から西洋社会では、justiceでなくrighteousness — 神の右(right)の座につく者の正しさ(rightness) — を土台にした新たな社会構造の枠組みがどの様なものになるのか模索が始まっている。即ち、righteousnessの上に形成される倫理観とは何か。その新たな倫理観による善悪判断の上に構築される社会はどのようなものか。

ここで問題となったのは、righteousnessをとらえる諸能力がhuman nature(人間本性)に残されているのかどうか。(原罪により)失われたと考える者達(例:ジャンセニスト)と、いや残されていると考える者達(例:イエズス会士)とに見解は分かれていた。長らく前者の方が優勢だったのだが、50年ほど前から後者が優勢に変わってきた。

そして2013年、その様なイエズス会のホルヘ・マリオ・ベルゴリオ枢機卿が遂に教皇となった。彼は、virtue ethicsという新たな倫理を前面に出して、功利主義倫理 (utilitarian ethics)による経済とは異なる新たな経済の実現に乗り出した。

・・・といった内容。詳しく聞きたい方は声をかけて下さい。説明に参ります。

分科会2018#5(11月17日) 開催通知および配付資料

開催通知

日時2018年11月17日土曜日 13:30 ー 15:30
場所東京都 新宿区 信濃町 33 -4 カトリック真生会館 1Fホール
テーマカトリックの経済学 — economyの本来の意味を求めて

配付予定の資料をアップしておきます。新たに参加する方は齋藤まで連絡の上、ご参加下さい。

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原本のパワポ ファイルもアップしておきます。

分科会2018#4(9月15日) 開催通知および配付資料

開催通知

日時2018年9月15日土曜日 13:30 ー 15:30
場所東京都 新宿区 信濃町 33 -4 カトリック真生会館 1Fホール
テーマFreedom  to develop the capabilities — 特有能力の展開自由

配付予定の資料をアップしておきます。新たに参加する方は齋藤までご連絡の上、ご参加下さい。

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原本のパワポ ファイルもアップしておきます。

 

分科会2018#3(7月21日) 開催通知および配付資料

開催通知

日時2018年7月21日土曜日 13:30 ー 15:30
場所東京都 新宿区 信濃町 33 -4 カトリック真生会館 1Fホール
テーマLove God and love people — 律法全体は、この二つの掟に基づいている

配付予定の資料をアップしておきます。新たに参加する方は齋藤までご連絡の上、ご参加下さい。

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原本のパワポ ファイルもアップしておきます。

分科会2018#2「倫理改革」記録メモ(20180519)

【更新 20180622】:  質疑応答記録を中心とした議事録 と 資料説明ノート を掲載します。

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また、~archivesの「勉強会」の欄にも表記をアップしました。こちらにはPDF版とPPTX版をアップしておきました。スライドだけの閲覧とノート付きの閲覧とのどちらかを選びたい方は後者をダウンロードして下さい。

分科会2018#1「社会規範の拡張」記録メモ(20180317)

表記を、~archivesの「勉強会」の欄にアップしました。

【更新 20180619】: 資料を、当日配布と後日配布、併せて以下に載せておきます。
1.当日配布:「社会規範の拡張、Is justice enough?」

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2.当日配布:「Justice as Fairnessの具体的な問題点や、それに伴う新たな様々な潮流」

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3.後日配布:分科会2018#1「社会規範の拡張」記録メモ

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分科会 2018#2 開催通知

開催通知

分科会 2018#2「倫理改革」は、左記:カトリック社会教説における主権者(sovereign)の変遷 —「主権者が替われば倫理も変わる」、をテーマにして開催します。

1891年に始まったカトリック社会教説が、主権者(sovereign)は誰であるとして捉えていくのか、その変遷を時代を追って七つの回勅論文から拾い出します。民主主義を抑圧していた19世紀末から150年かけて、民主主義の熱烈なchampion(擁護者)と変わっていく過程を追います。その過程でカトリック社会教説は、社会をthe public sphere(非国家領域)とpublic sphere(国家領域)の「重なり合う和集合」として捉えていくようになります。

この過程の結果、新たな倫理観(morality)として徳倫理(virtue ethics)が重要となってくることが、2016年のPope Francis回勅Amoris Laetitia(邦題:愛のよろこび)で説かれます。分科会 2018#2では、この徳倫理(virtue ethics)を、public sphere(国家領域)の倫理である功利主義倫理(utilitarian ethics)と「主体」「法廷」「葛藤」「原則」が異なることを比較して説明します。

~archivesの「勉強会」の欄に、分科会 2018#2の配付資料をアップしました。参加ご希望の方は、資料をダウンロードし良く読んだ上、参加の旨を私(齋藤旬)まで通知してご参加ください。

追記 20180412:当日のプレゼン用パワポも、~archivesの「資料・グラフ」の欄にアップしました。参照リンクが使えます。参加を検討される方はこちらもご覧ください。

日時2018年5月19日土曜日 13:30-15:30
場所東京都 新宿区 信濃町 33 -4 カトリック真生会館 1Fホール
テーマ倫理改革 カトリック社会教説における 主権者(sovereign)の変遷
—「主権者が替われば倫理も変わる」

分科会 2018#1 開催通知

 今年は、左記勉強会のうち赤枠で示した「分科会」の講師を担当することになりました。奇数月第三土曜日の午後、全五回/2018年、年間テーマ「教皇フランシスコの思想の核心:Justiceだけでは足りない」。

第一回は、テーマ「社会規範の拡張」を取り上げます。1980年に当時の教皇ヨハネ・パウロ二世が出した「Is justice enough?」(正義で足りるのか?)という質問に、現在のローマ教皇フランシスコがどう答えるのか、そして、どの様な考えの下にそう答えるのか、ひもといていきます。

~archivesの「勉強会」の欄に、開催通知と第一回配付資料をアップしました。参加ご希望の方は、資料をダウンロードし良く読んだ上、参加の旨を私(齋藤旬)まで通知してご参加ください。

日時2018年3月17日土曜日 13:30-15:30
場所東京都 新宿区 信濃町 33 -4 カトリック真生会館 1Fホール
テーマ社会規範の拡張 Is justice enough?