「手をこまねいている」のは避けたい

出典:東京書籍『図説 人新世』紹介サイト    www.tokyo-shoseki.co.jp/books/81520/

地球温暖化の原因について私がどう考えているのか、尋ねられたので、ポジションを述べておく。

地球温暖化について科学的に書かれた本には三種類ある。即ちその原因を、1)人為、2)非人為、3)分からない、とする三種類がある。私は厳密に言えば、3)分からない、に属する。

更に厳密に言えば、私が「分かった」と思っているのは、「ある規模の地球温暖化が進行中」「地球人80億人の少なくない範囲に見過ごせない被害が及ぶだろう」「温室化ガス抑制で該被害を減少できる可能性をしめすシミュレーションがある」の三点。

ということで私は、1)人為説にくみしている。即ち「温室化ガス抑制」に賛成する。けれども地球温暖化人為説を「科学的に客観的に証明された」などとは思っていない。realityについてほとんど分かっていない人類にこの様な現象の原因をキチンと特定できる力はない。でも「手をこまねいている」のは避けたい。どうにか出来るのだったらどうにかしたい。だからこのポジションをとる。

今後もしも、人力が及ばない不可抗力が働いていて温暖化が起きているとハッキリと「分かった」ならばどうするか? その時は、アシモフのSF『ファウンデーション シリーズ』に出てくるハリ・セルダンではないが、人類文明を後退させないようにするためにその人的物的最小セットの維持・保存に取りかからざるを得なくなるかもしれない…。

更にいえば、地球のお隣の惑星である金星は、二酸化炭素の強い温室効果がはたらき、大気温度が昼も夜も摂氏460度となる「灼熱地獄」状態となっている。もしも地球がこの様になるとハッキリと「分かった」ならばどうするか? その時は、人類文明の人的物的最小セットを積載する、系外惑星移住用宇宙船「ノアの箱舟号」建造にとりかからざるを得なくなるかもしれない…。

この様に考えると今は、地球温暖化人為説にポジションをとって、対策を打つしか手はないと思える。