clm.245: Church and Stateの「もつれ」 ー 宗教組織は課税か免税か

国家が宗教へ課税することの「是非」をウンヌンカンヌンしたいならば見逃せないテキストがOUPから出版されていた。Edward A. Zelinsky、米国租税学会の中ではtheology of the people寄りの考え方を持った、つまりChurch and Stateで言えばChurch寄りの考え方を持った租税学者が2017年に書いたテキスト。原題:Taxing the Church: Religion, Exemptions, Entanglement, and the Constitution、半訳:『the Churtchに関する税制について ー religion、諸々の免税、もつれ、米国憲法』。

時間があればジックリ内容を吟味したいが即席に解説だけ半訳しておく。

『解説』:米国のchurchesや他のreligious institutions(宗教機関)が米国家または米各州によって課税対象とされているか免税対象とされているか、実地調査および規範調査を本書は行っている。調査結果は、churchesや他の宗教機関が米国連邦および各州の税制によって一様でなく多様に扱われていることを明らかにしている。特にsectarian institutions(ある宗教に属する宗派機関)は多くの人が思っているよりも多くの税金を支払っている。重要な点は、各州はsectarian entities(宗派事業体)に対しそれぞれ独自のアプローチを用いて課税免税を決めていることである。churchesや他の宗派事業体を課税とするか免税とするかは、Church and Stateをスペクトラム状にentangle(もつれ)させている。この様なchurch-state enforcement(両権社会における法律執行)​​の「もつれ」スペクトルにおいて、あまりもつれていない一方の端には、churchesがより頻繁に課される税金 — 連邦社会保障およびメディケア税、売上税、不動産譲渡税 — が位置している。他方で、宗教機関が免除される税金 — 典型的には一般事業所得税、時価基準固定資産税、失業税 — が、「もつれ」の可能性が最も高い端に位置している。宗教行為者・宗教機関への免税は、国家からの或る種の助成金であるとして生理的反射の様に非難されるが、この非難は説得力がない。むしろこの種の免税は、church-state enforcement(両権社会における法律執行)​​の「もつれ」を最小化させる作用を持ち、世俗の側から宗教に助成金を与える方法によってではなく、「もつれ」最小化のゴールへと向かうことを可能としている。したがってこの種の免税は、a normative tax base(或る規範を支持する税の基礎)の一部と見なされるべきである。この様に本書は考えている。

どのchurchを課税とするのか、どのchurchを免税とするのか、この問題はChurch and Stateがそれぞれ持つ競合しあうlegitimate values(正当な価値観)の間で難しいトレードオフを引き起こす。その中で、私たちの非中央集権的legislation(法律措定)はこれらの法律的および税政策的トレードオフをそれなりに(reasonably)達成しているが、church内部のcommunication保護や、churchesに州ごとに独自の基準で課される売上税納税義務の拡大など、特定の課題にはまだ改善の余地があると本書は考えている

(ディスカションはまたの機会で。)