現行経済を生み出しているutilitarian ethicsとは別の倫理に、ethical bearings(倫理見当識)を切り替えた人に見えてくる全く新たな社会経済システム。この新たな社会経済システムの研究から社会実装までを担うEoF Foundationが、本格始動した。
EoFメルマガ登録している私に、A Transformative Start to 2025 with EoF School!.msg(EoF スクールで 2025 年に向けて変革のスタートを切りましょう。)というメールが一昨昨日来て、このEOF Foundation本格始動を知った。具体的にはEoF School 2025が始まる。その内容は:
- 偶数月の概ね第四月曜日、年6回、Zoomで一時間程度。使用言語は英語。無料。
- 第1回は、2月17日月曜日、日本時間11:00 AM(イタリア時間17:00)から1時間強
- 毎回の構成:講師紹介等講義準備、EoF speaker触発トーク(10分)、fish-bowl活動(15分)、ブレークアウト室に分かれてgroup discussion(20分)、その後wrap-up
- 対象は、アカデミック、起業家、変革者、これら3分野の若者(学生)
- 参加登録は、このGoogle form、募集締め切りは2月10日
各回に予定されているテーマは:
> Introduction: Hope and a Covenant to give a soul to the Economy
> Integral Human Flourishing
> Gift in Companies and Communities
> Common Goods and the Regeneration of Social Systems
> Peripheries of Economics and Business
> The Economy of the Land and The Economy of the Journey
予定されている講師が豪華:
『ドーナツ経済』のケイト・ラワース
『Part-Time for All』のジェニファー・ネデルスキー
もうすぐ68歳になる私も参加登録してみたが、高齢過ぎて弾かれたようだ。replyが返ってこない。日本の若者の誰か、テーマに興味があるなら、そして、英語での討論力がある程度あるなら、是非応募してみて下さい。
20250204追記):上掲の『Part-Time for All』は現時点で和訳されていない。ネットを探せば著者自身による英語での内容説明が、講演録画YouTube等に見つけられるが、日本語で簡潔に内容説明したテキストをこの資料16-17ppに見つけた。以下に抜粋して転記しておく。
カナダの政治思想家のジェニファー・ネデルスキーさんは「すべての人がパートに― Part time for All」という考えを提唱しています。彼女は、現在の労働状況が続くならば、家族が持続しないし、ケア労働の低評価も変わらず、女性差別やカナダの文脈だと移民差別は終わらないと考えています。ですから、根本的な社会改革のために、原則的にはあらゆる人が、その職種にかかわらず有償労働は22時間までとし、無償労働は、市民活動なども含めたケア労働のために18時間から30時間の幅でパートタイマー的に関わるよう、法制度を整備することを唱えています。難題ですが、どうすれば法で強制できるのかということに、彼女は取り組んでいます。
有償労働は、憲法上の勤労の義務がありますし、働かないと私たちは食べていけないという意味でも強制されていることになります。このことを考えればケアも、無償労働でも何らかの形でも強制的にやらないといけないとも考えられます。夫婦の中で話し合って、ということでは二進も三進も(にっちもさっちも)いかない。
ネデルスキー先生はこのままだと家族が崩壊すると言います。今の法に定められた条件と福祉の引き下げもふまえると、家族もすでに崩壊しかねず、持続できない。家族が崩壊すると、人間のケア関係も崩壊し、どんどん人間の生きる質が落ちていく、というのが彼女の考えです。
このケア労働の性別役割分担がある限り、カナダでは移民、外国人を含む人種問題にかなりしわ寄せがいき、差別は終わらない、というところまで議論されています。
提言としては実現不可能と思うかもしれませんが、ケア労働に対する蔑(さげす)みを内包したケア不足が深刻な問題として、フェミニストの大きな潮流の中で捉え直されています。