2018 number of LLC = 2,821,394

2018年の米LLC数は2,821,394だった。この数字は、IRSが先週発行したPartnership Returns Line Item Estimates 2018のpage 3に載っている。上欄Domestic limited liability companyの脇に青字で添えてある数値。依然として単調増加を続けている。グラフを更新しファイルを~archivesの資料・グラフにアップしておいた。

なお、c-corporate数もupdateされていたので、そちらも付け加えておいた。トランプのcorporate税制改革の混乱が収まったのか、2015,2016,2017の統計数値が一気にSOI Tax Stats – Corporation Complete Reportにアップされていた。active corporate、つまりcorporate income tax(日本でいう法人税)を納税しているcorporateの数。Full Publication (PDF) 2017の9頁 Figure G. 書式1120の行の数値を拾った。active corporateだから、benefit corporateやnonprofit corporateは含まれない。こちらは、154万社ほどで減少が一時的に止まっている様に見える。

減少が一時的に止まっている様に見える理由は、やはり、トランプのcorporate税制改革だろう。設備投資の即時全額損金算入(at once full expensing)ができるなど、利益圧縮を図れるトランプ税制改革のおかげで、納税すべきcorporate income tax金額がほとんどゼロになっているために、active corporateがLLCへ「鞍替え」する必要が、一時的に、なくなっているのだろう。

clm.261:conscientist、共にサイエンスする者

フランシスコ教皇は2015年、エコロジーに関する回勅Laudato Si’を出版した。この科学面でのアドバイザーの一人となったドイツの大気物理学者シェルンフーバーが、英語(ないしドイツ語)ならではの「新語」を作っていた。文献渉猟していて見つけたので、メモしておく。

それは、conscientist(英語)、Gewissenschaftler (ドイツ語)。ナニナニと共にサイエンスする者、といった意味。その元は、conscience、Gewissen、則ち、日本語で「良心」と和訳された概念。

しかしながら、この「良心」という和訳、良くない。これは、人間誰しもの心の底にあるとする「良き心」(性善説)のことだが、西洋語conscience、Gewissenはニュアンスが異なる。それは、born-good(性善説)でもborn-evil(性悪説)でもない。

元の英語conscience、元のドイツ語Gewissen、両者とも、語源的にみれば「共に知る」あるいは「共にサイエンスする」という意味。conやGeは「共に」、scienceやWissenは「知る」あるいは「サイエンスする」という意味。(江口再起『ルターと宗教改革500年』119頁等参照方)

誰と「共に」か? もうお分かりと思うが、キリスト教文化が根づいた西洋では、それは神。神と共に「知る」ないし「サイエンス」すれば、良・善・真に至るとの考えが西洋にはある/あった。つまり、人間に最初から良心が備わっているのではない。流石に現代一般西洋人が「神」を持ち出すことは最早多くはないが、とにかく、キチンと「知る」ないし「サイエンス」していけば「良・善・真」に辿(たど)り着く、と西洋では考えられている。

西洋におけるこの様な概念形成過程のもとに、シェルンフーバーは新語(conscientist、Gewissenshaftler)を作った。シェルンフーバー発言のその部分を転記しておく。

英語:But as a scientist, I also am a ‘conscientist’ – I see it as my responsibility to not only share our knowledge with other researchers but with everyone who will be be affected by the impacts of climate change in the end – and in whose power it lies to stop it.

ドイツ語:Aber als Wissenschaftler bin ich auch Gewissenschaftler – ich sehe mich in der Verantwortung, nicht bloß mit anderen Forschern unsere Erkenntnisse zu teilen. Sondern mit all jenen, die von den Folgen des Klimawandels am Ende betroffen sein werden. Und in deren Macht es steht, ihn zu stoppen.

半訳:ただ単にa scientistであるだけでなく、私(シェルンフーバー)はa ‘conscientist’ でもあるのです。則ち、私達気候変動学者達の知識を、他の研究者と共有するだけでなく、気候変動の悪影響を将来において受ける全ての人達と、つまり、気候変動をとめる力を持ちうる全ての人達と、共有することが、私のresponsibility(応答責任)だと感じているのです。

・・・先先回コラム259で、freedomとは、人それぞれが持つ良心(conscience)が示す範囲の「自由」、と説明した。これでは、freedom概念を十分に説明したことになっていなかった。より正しくは、freedomとは、人それぞれが持つconscience(共にサイエンスする心)が示す範囲の「自由」、とすべきだった。

繰りかえすが、人間に最初から良心が備わっているのではない。キチンと「知る」ないし「サイエンス」していけば「良・善・真」に辿(たど)り着くと西洋(の或る人達)は考えている。

20201219 追記:コラム259にあるconscience の和訳を,一般的な「良心」でなく「共科学心」と訂正してみた。

clm.260:教皇、新経済学の指南役に二人の女性経済学者を推挙

12月1日に発刊されるフランシスコ教皇の一般向け書籍『Let us dream』において、教皇が「この時代の地上世界が必要とする知見を、女性の経済学者達がもたらしてくれた」とコメントした。(ここ参照方)

パンデミックによって明らかにされた新たに必要とされる経済に関し、二人のUK-based女流経済学者が、新鮮な考え方を提案してくれた、と指摘した。

一人はマリアナ・マッツカート、University College London。business振興において国家の役割はvitalだと唱えるan influential thinker。もう一人はケイト・ラワース、the University of Oxford。ドーナツ経済学というframework which protects people and the planetを開拓した。両名とも、ヴァチカン主催のCOVID-19 commissionに参加している、とのこと。

・・・ということで早速私はkindle版『Let us dream』を予約注文した。ワクワク。(^o^)

なお、ちょうど一週間前アッシジで行われたZOOM会議 The Economy of Francescoで、ケイト・ラワースがプレゼンを行った。下に貼り付けておく。

その後、ZOOM会議 The Economy of Francesco閉幕にあたり行われた教皇挨拶も載せておく。

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初大根収穫

2020初だいこん。身の締まった甘くてからくて美味しい大根。葉っぱも全部頂きました。「葉っぱに虫がいるー!」と奥さんがいっていた。そりゃそうだ。こんなに美味しい葉っぱ、虫がほっとくわけがない。大自然と共に生きるとは、きっとそういうことじゃないかな、と区民農園から地球全体のことを考えてみた。大げさかな,,,(^o^)

分科会2020#5(11月21日) 開催通知および配付資料

日時2020年11月21日土曜日 13:30 ー 15:30 (予定は流動的です。「中止」の場合ここに通知します。)
場所東京都 新宿区 信濃町 33 -4 カトリック真生会館 1Fホール
テーマEverything is interconnected ~~ 科学者と宗教者が共有するa conviction

配付資料

clm.259:学問の自由はacademic freedom。academic libertyではない。

当ブログの読者には、標題だけで既に、私の言わんとしていることはお分かりだろう。日本学術会議の新候補六名が、政府によって拒否された件。これに関する議論が噛み合っていない。ここは基本に立ち返って、freedomとlibertyの違いをキチンと理解することから始めては如何か、という提案だ。

左掲は、1946年のGHQ憲法草案の一部。この憲法草案にはfreedomが7回出てくるのだがその内の6回の箇所。中程に、Article XXII. Academic freedom and choice of occupation are guaranteed.とある。日本の現行憲法23条「学問の自由はこれを保障する」の原英文がこれ。「学問の自由」と和訳された元の英語が、academic freedomであることが分かる。

また、GHQ憲法草案には、liberrtyが3回出てくる。これら三つのlibertyと七つのfreedomが、日本の現行憲法では「自由」と和訳されている。同じ意味と解されている。しかし、西洋「両権社会」において、libertyとfreedomは異なる意味を持っている。libertyは、国家が定める法律が許す範囲の「自由」であり、freedomは、人それそれの良心共科学心(conscience)が示す範囲の「自由」だ。

まずはこの、74年前に日本人全員に課された宿題、つまり、社会基本法に関する英文解釈という宿題にキチンと取り組むのが、日本学術会議問題に関し実のある議論を始めるための第一歩だと思うのだが….。

20201219 追記:コラム261「conscientist、共にサイエンスする者」を受けて、conscienceの和訳を一般的な「良心」でなく「共科学心」と訂正してみた。