clm.302:覆いの下のrealityをのぞき見る

無冠詞realityとは何か。物理学者が一般向けに解説したテキストの出版が続いている。ペンローズ、ロベッリ、グリーン・・・。その中でもこの本、Ten Keys to Reality『仮題:realityへの10個の鍵』は、著者・内容共に「白眉」かもしれない。

2004年ノーベル物理学賞を受賞し、2008年には形而上界での存在(being)を論じたThe Lightness of Being『物質の全ては光』を出版したフランク・ウィルチェックが、2021年1月に出版したこの本は、小さい頃はカトリック教育を受けたという彼の生い立ちも相まってか、宗教と科学のバランスがとても良いように私は感じる。

現に、「宗教におけるノーベル賞」と言われるテンプルトン賞を、2022年5月に受賞した。

受賞を記念してL.A.Times誌がこの5月にインタビューした記事を見つけた。本の内容を垣間見るには絶好と思うので半訳した。宜しかったらご覧下さい。

clm.301:ability to organize and carry out creative alternatives

一昨日開催した分科会でのO氏のコメントは衝撃的だった。「二頁目の原英文の最下部にあるto不定詞は、to organize and carry out creative alternativesという具合に二つの動詞を含むんじゃないですか?」 アッその通りだ! 急転直下! まさに「目からウロコ」

ここでフランシスコ教皇は「an organizationを設立し創造的代替策を実行する(to organize and carry out creative alternatives)ための能力の内、関連する法律が整備されそのlegitimacy(法律的正当性)が認められ一般化された能力(ability)」、即ち、「近年西洋社会で関連法律整備が進んだpartnership組織を設立し運営するability」について言及しているんだ! 

つまり「人類の未来の命運は、皆さんが持つability、即ち、partnership組織を設立し運営するabilityに託されている」と。

先の「開催通知および配付資料」の配付資料の該当部分を上掲のように訂正し、rev.11とし、添付し直した。既にお読みいただいた方は、もう一度お読み下さい。

とても重要な部分を、私の読解力不足のために見落としていた。ゴメンナサイ。訂正してお詫び申しあげます。

分科会2022#3 (7月16日) 開催通知および配付資料

日時2022年7月16日土曜日 13:30 ー 15:30
場所(東京都 新宿区 信濃町 33 -4 カトリック真生会館 1Fホール)
ZOOMによるオンライン勉強会を予定。参加を予定する方は私(齋藤)までお知らせ下さい。
テーマ dreams for system change, IV WMPM 教皇メッセージ後半

配付資料

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clm.300:新に、公理の一つが見つかったのかもしれない

もしもabc予想が「真」だとするならば、realityには宇宙際タイヒミュラー(IUT)理論というan axiom(一つの公理)が組み込まれているに違いない。

これが望月新一さんが主張したいことなのだと、左掲の番組「数学者は宇宙をつなげるか?」完全版 (4月15日放送)、を見ていて私は感じた。

つまりまだ、abc予想が「真」だと証明されてはいない。このことは番組でも説明されていた。

番組では所謂「強いabc予想」が紹介され、その反証探しに取り組んでいる人も紹介された。
強いabc予想とは:
 abc-triples: comprise positive integers a,b,c such that a+b=c   において
    c/rad(c) < rad(ab)    が成り立つという予想。
   (正の整数nの、互いに異なる素因数の積を根基(radical)と呼び、rad(n)と書く。)

未だ「反証」は見つかっていない。しかしもし見つかれば、abc予想が「真」だとはいえず、従って
「realityには宇宙際タイヒミュラー(IUT)理論が組み込まれている」とはいえない。

番組は「abc予想が証明された」という間違った印象を与えていた。なのでメモしておく。

なお、タグの分類を「新たな社会経済システム」とした理由は、望月新一氏自身による以下の記述、宇宙際タイヒミュラー理論の衝撃が及ぶ範囲の広さの説明、を見れば了解されるだろう。

・・・実際、多くの著名な研究者が長らく「あり得ない」ものとして認識してきたものを、「立派にあり得る」ものとして受け入れてしまうとなると、夥しい数の社会的な構造や組織、地位等が立脚している、底なしに「頑丈」とされてきた様々な形の「固定観念」や「評価の物差し」を根底から否定し、覆すことを意味するはずです。しかも、この従来の「固定観念」や「評価の物差し」に対する否定効果は、数論幾何学という数学の一分野に対する「一次的」な現象に止まる表面的な性質 のものではなく、数学とは直接無関係な、一般社会の様々な構造や組織、地位等に対しても少なからず波及効果を及ぼすことは恐らく多くの関係者からすれば容易に想像が付くでしょう。その意味においては「衝撃的」との受け止め方には一定の合理性は認められます。・・・

           加藤 文元『宇宙と宇宙をつなぐ数学 IUT理論の衝撃』巻頭言:
                  「刊行によせて」 望月新一(IUT理論提唱者)