昨日紹介したco-sovereign(拮抗併存主権者)という新概念の出典を見つけた。左掲論文集:Nonprofits and Government: Collaboration and Conflictの第四論文「Tax Treatment of Nonprofit Organizations — A Two-Edged Sword?」 Evelyn Brody and Joseph J. Cordes。(目次はここ)
なお本書は和訳本が、2007年ミネルヴァ書房から出版されている。(ここ、ただし原英文初版(1999年)の和訳。第二版(2006年)、第三版(2016年)の和訳は未完。)
原英文の中のco-sovereigntyという用語が出てくる部分は、Google Booksで以下の様に読むことができる。半訳して掲載する。
税免除が或る種の助成を表したものであったとしても、やはりそれは曖昧で不十分な助成を生み出すに過ぎない。しかし興味深いことに、この様な非営利セクター税優遇は、国家および地方政府が持つsovereignty(主権)に関する連邦税制ルールに似ている。JCT [1996](米上下両院税制合同委員会1996)でさえ、非営利、国家、地方政府を、併記すること無しに一括して扱っていた。また、the federal income taxでは、「全てのpublic utility(公共的効用)即ち全ての基幹的政府機能行使から導出される所得、あるいは、州または州下部政治機関における発生金額」(IRC sec. 115(a))を、gross income(税引前所得)から除外している。州および地方自治体が資金を得ようとして債券を発行する場合、その利息は債券保有者において税免除の対象となるのが一般的である。国家への支払金、および、地方所得税と地方資産税としての支払金は、連邦課税所得額から控除される。ただし、それら行政機関のサービスのuserとしての使用料は、連邦課税所得控除の対象とはされない。また既に記したように、これらinter-government tax一つ一つはその都度、慈善活動の税優遇に類似して優遇される。非営利セクターは、the public sectorが持つco-sovereignty(拮抗併存主権)を真に享受している、という強い主張は確かに誰もしないだろう。なぜなら、非営利セクターには主権者が本来持つ強制力・強制執行権が欠落しているのだから。しかしながら、この様なtax frameworkには、非営利セクターをinviolate(神聖不可侵)なself-governing(自治)に委ねようという感覚が伴っている。と同時にgenerally obligating charities(一般宗教的義務としての慈善)を、政府に助成金を請願する手間から遠ざけようとする感覚も伴っている(Colinvaux第六論文参照方)。
20220923追記:「全てのpublic utility(公共的効用)即ち全ての基幹的政府機能行使から導出される所得」と和訳を訂正した。無冠詞publicはgovermentalを指し示し、the publicはnon-profit sectorを指し示しているという対比が上掲パラグラフの背景にある。このことが明確になるようにした。