2014年の米C-Corp数は1,570,796だった。この数字は、IRSが発行した2014 Corporation Complete Report (Publication 16) (PDF).pdfの9頁に載っている。9頁 Figure G.の、form type 1120の行と2014の列の交点。依然として単調減少を続けている。グラフを更新しエクセルファイルを~archivesの資料・グラフにアップしておいた。なお”form type”は「税務申告用紙の形式」を意味する。1120は、用紙形式番号。
米corporate tax stats公開は、IRS-SOI(米国内国歳入庁 所得統計部)にとって最重要責務だったはず。事実、私がLLC研究を始めた2000年代前半は、data updateがpartnership statsよりもcorporate statsの方が早く為されていた。それが今は、corporate statsについてComplete Reportは発行しても、A4一枚で概要が分かるsnap shotは発行がされなくなったか、とても遅れるようになった。隔世の感がある。
ただ今回、Complete Reportを読む機会を得て有益だったこともある。1992年からプロットしてきたC-corp数が、inactive C-corpを除いたactive C-corpの数であることが分かった。2014年のinactive C-corp数は、7頁Figure. Eの2014 populationの列とform type 1120の行の交点にある1,769,209から先程の数1,570,796を引き算した数、198,413と分かる。2014年、ざっと10%強のC-corpがinactive。
ちなみに“inactive”とは何か詳しく知りたい人のために、記載された凡例を転記しておくと:
…nonprofit corporations, returns having neither current income nor deductions, and prior-year tax returns. Additionally, amended or tentative returns, nonresident foreign corporations having no effectively connected income with a trade or business located in the United States, fraudulent returns, and returns filed by tax-exempt corporations…
ここで、”return”は「税務申告」を意味し、”file”は「書類提出する」を意味する。
冒頭に”nonprofit corporations“とあり、末尾に”tax-exempt corporations”とあることに注意されたい。後者は、最近伸長著しいB-Corp (benefit corporation)のことであり、前者は従来からあるnon-profit組織のこと。B-Corp (benefit corporation)については、機会があれば別途詳しく説明したいが、以下、簡単に説明すると。
B-Corp (benefit corporation)とは、営利事業と非営利事業を合わせ持つcorporation。営利事業でprofit(つまりcorporate income)を一端は計上するのだが、該profitを非営利事業に費消するため、corporate income tax(日本でいう法人税)を国家税務当局に納税することはしない。例:Ben and Jerry’s、営利事業としてアイスクリーム製造販売、非営利事業としてDemocracy advocacy。近年は「気候変動へアクションを」のadvocacyを行っている。日本でも営業しており、各地に風力発電所や太陽光発電所を建設している。
お分かりだと思うがB-corpは、2009年オバマがオバマケア提案の際にcodifyしたeconomic substance doctrine(経済の本質を持つ事業はcorporate income taxをexemptされる、という法理)の成果の一つ。オバマケアのねらい通り、病院経営をするB-corpも現れている。記事:A Benefit Corporation Steps Up to Purchase a Chicago Hospital 参照方。