前回コラムで紹介した、帰属家賃(imputed rent)とは、持ち家を自分が自分に貸した貸家(かしや)だと仮定して、自分が自分に払う仮想的「家賃」のこと。実際にはお金は動かない。それなのにこんなややこしい計算をしてGDP額を見積もる。日本でいえば500兆円GDPの5%、25兆円をこの仮想的「生産」は稼ぎ出す。
家事仕事は生産境界内に入れないのに、こんな虚事(そらごと)を生産境界内に入れるとはなんたること! そもそも生産境界を設けることに疑問を持つが、設けるにしてももう少しましな生産境界を設けたらどうか! …マッツカートの意を汲みすぎかもしれないが、その様に憤慨する彼女の『全てにそれぞれ価値がある』から、帰属家賃の解説部分を拾った。半訳したのでご覧下さい。
なお、日本語でも、作間逸雄「生産境界再考」の第三章に、帰属家賃について説明がある。帰属家賃の起源が、18世紀末に始まったindividual income tax(個人所得税)の制度設計にあることなどが説明されていて興味深い。併せてご覧下さい。