最近、量子論を学び直している。学生の時以来だからほぼ40年ぶり。それで驚くのは、現在の量子論が、五つの公理から演繹できる論理体系としてスッキリと整備されていること。
中学で習ったユークリッド幾何学では、「平行線は決して交わらない」のような幾つかの「証明は出来ないけれど直観的に真であること」を「公理」として受け入れれば、後は全ての「定理」が演繹的に証明できてしまう。それと同じ事が、ここ数十年で量子論にもたらされた。
ただ、「同じ事」というのは少し語弊がある。というのは、量子論の公理系はユークリッド幾何学の公理系ほどには「直観的」でないからだ。でも、私のように、かつて公理と定理をごちゃ混ぜにして量子論を勉強した者にとっては、この様な公理系整理は大変役に立つ。
…昔習ったなー。そうかこれは公理だったんだ。証明は出来ない。でも、「真」だとしてとにかく受け入れろ、ってことか。ふーむ、そうね今となっては違和感は無いし、了解。…というように私のような者には、スッキリと学び直しが出来る。
ということで量子論公理系を整理して書き留めておくことにした。「axiom, quantum mechanics」などとネット検索すれば関連文献が出てくるが、ここではMITが作った資料を元にまとめてみた。
哲学、宗教、社会思想にも興味のある今の私には、量子論の第一公理と第二公理は、次の様に響いてくる。…
我々がいる(と感じている)空間に存在する全ては、実は、無限次元複素ベクトル空間(ヒルベルト空間)に存在する「状態ベクトル」の「射影」であり、我々が観測できる「物理量」は、そういった高次元存在である「状態ベクトル」の、ほんの一部の「属性」に過ぎない、と…。
追記 20200530:「量子論の公理系」パワポ版もアップしておく。
追記 20200831:「詳細版のラベル(ボルンの確率規則)の位置が不適切」との指摘を頂いた。訂正版(rev.3)をアップし直した。