「量子力学100周年研究会:量子基礎・量子情報のこれまでとこれから」に、9月8日から12日、ZOOM参加した。どの講演も面白かったが私にとっての白眉は、チュートリアル講演:ベル定理と実験形而上学(木村元)。
experimental metaphysics(実験形而上学)という用語は、Abner Shimonyによって導入され、それは「単体では科学となり得ない形而上学的仮説が、形而上学的仮説を複数組み合わせると、形而下で実験検証可能な科学となることがある」を意味するとのこと。(講演発表資料の12頁参照方)
エッ、形而上学を、形而下で可能な実験によって検証できる?! これは驚きだ。というのは…。
左掲のリーゼンフーバー著「存在と思惟」162頁によれば:
形而上学―そして形而上学に対する批判ーにとっては、自らより高次のメタ・レヴェルの立脚点は存在しない。それ故、形而上学の概念を規定することを、あるいは、それを批判することを試みる者は、そのことによって既に不可避的に、形而上学を遂行していることになる。
・・・とある。つまり、「形而上学は、形而下学(physics)から論ずることは出来ない」とされていた。これに真っ向から反するではないか、と思った次第。
驚くと同時に、5年以上前に書いたコラム249「the metaphysics of quantum physics」を思い出した。定年退職後に量子論の勉強を本格再開し、ふと思ったことは、あながち、間違いではなかった。トンチンカンな方向に突き進んだのではなかったと、胸をなで下ろした。(^o^)