clm.297:ブリンケンのディアスポラ精神に期待

緊張が続くウクライナ情勢だが、交渉に当たるブリンケン米国務長官(左)がユダヤ系であり、その心の奥底にあるはずのディアスポラ精神を発揮して、「国家存立のための戦争は愚かだ」「もっと視野を広くしよう」と周囲の目を開かせることを期待したい。

コラム296で述べた様に、2000年前のユダヤ人は「国家存立のために何かするのは最重要ではない」と思っていた。この考えをしっかり守ったことでローマ帝国から国外追放になりディアスポラ(国家を持たぬ民)になった。ブリンケン国務長官の父親はウクライナ系ユダヤ人、母親はハンガリー系のユダヤ人。地上世界に拘泥せず視野を超自然にまで広げる精神が、ブリンケン国務長官の心には宿っているはず。

ちなみに交渉相手はラブロフ露外相(右)。父親はアルメニア系アメリカ人、母親はロシア人。

アルメニアは世界最古のキリスト教国。パレスチナよりも東側、現在のトルコの東隣り、カスピ海と黒海の間に位置しながらも、イエスが着想しパウロが精緻化したキリスト教社会思想の元型を、世界で最も早く(四世紀)受け入れた国。五世紀後半に、西方キリスト教がデュオスントのカトリックに、東方キリスト教がケイサロパピズムのオルソドクスに分裂した(この資料の5頁目参照方)。その百年以上前に、キリスト教社会思想の元型を、世界で最初に国教として受け入れた国がアルメニア。

ラブロフ外相の父親は、その様なアルメニア系のアメリカ人。流暢な英語を話すラブロフ外相が、ディアスポラ精神、即ち、国家倫理を絶対視しない精神を持っていると期待したい。