投稿者「junsaito」のアーカイブ

“Oeconomicae et pecuniariae quaestiones” – 現行経済金融の様々な問題点、全34節のうち第12節まで半訳

去年10月にrev.1として第一章introductionの半訳をアップした。今回、第二章「基本的諸約因」の序盤、全34節のうち第12節まで半訳が出来たのでアップしておく。

本論考のタイトルや文中にあるconsiderationの和訳を「考察」ではなく「約因」に変更した。

約因とは、西洋社会の契約法(contract law)で近年急速に形而下法律整備が進んでいる概念。固く言えば「契約締結に入る当事者の譲歩を基礎づける何らかの原因」を意味する。通常、約因はお金だが、拙ブログの「ブログ立ち上げ経緯」ページでは、corporateでは「約因はお金」、partnershipでは「約因は契約者間合意があれば何でもよい。例えば結婚契約の約因は通常はお金ではなく、幸せや楽しさが約因となる」と紹介した。

本論考を訳出するに当たり大きな変更だが、その理由は、お読み頂ければお分かり頂けると思う。

20240203追記:considerationの和訳を「考察」ではなく「約因」に変更するのを一つ忘れていた。それは第一章の最後部分、即ち、第二章と第三章の内容を一文で紹介する部分。和訳を下記のように訂正し、13節と14節の半訳も付加し、rev.2aとしてアップしなおした。

原英文:With this document, the Congregation for the Doctrine of the Faith, whose competence extends to moral questions, in collaboration with the Dicastery for Promoting Integral Human Development, offers some fundamental considerations and clarifications in support of such development and in defense of human dignity.
訂正和訳:本論考では、人間の尊厳を擁護し共通善展開を支持する上で、根本となる約因と解明できた事柄とを、モラル問題を扱う適任能力を持つ教理省が、高次統合人類発展市民評議会との協業の下に、提示します。

20240204追記:もう一箇所、considerationの和訳を「考察」ではなく「約因」に変更するのを忘れていた。第二章の最初の段落。ここは大幅に訳出しなおした。rev.2bとしてアップしなおした。

2021 number of LLC = 3,203,954

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2021年の米LLC数は3,203,954だった。この数字は、IRS siteのここに昨日掲載されたTable 6. Domestic Limited Liability Companies (LLC’s):Selected Items by Industrial Group, Tax Year 2021 の左上隅に載っている。

2019年末の記事で陳べた「トランプ政権のcorporate減税」で誘発された「LLCのcorporate成り」は、突発的異常事態だったことが更に明らかになった。2021年は、コロナ禍の中での自主的organization設立ラッシュが続き、LLC数は一気に320万社を超えた。一年間で20万社強のLLC増加。これは2020年に次ぐ過去二番目の増加スピード。

他方青ラインで示したactive corporate、即ちプラス額のcorporate income taxを納税するcorporateの数(IRS siteのここに掲載)は依然として減少傾向にある。米国における「根本的な経済システム変革」「corporateからLLCなどpass through entityに経済主体が移行」は、2019年のトランプcorporate優遇減税により一時的に乱れたが、トランプ政権最終年の2020年もやはり堅調に進んでいたといえる。

分科会2023#5 (11月18日) 開催通知および配付資料

日時2023年11月18日土曜日 13:30 ー 15:30
場所(東京都 新宿区 信濃町 33 -4 カトリック真生会館 1Fホール)
ZOOMによるオンライン勉強会を予定。参加を予定する方は私(齋藤)までお知らせ下さい。
テーマフランチェスコの経済 — 無冠詞economyの実践とは、taking care of the common homeすること。

配付資料

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“Oeconomicae et pecuniariae quaestiones” – 現行経済金融の様々な問題点、序文のみ半訳

EoF大会への招待状を若者達に2019年に送る前年の2018年1月、フランシスコ教皇は、「現行経済金融の様々な問題点」という基調論文をまとめた。

序文・考察・解明・結論からなる本論文の序文だけ、先ず半訳した。今後手が空いたときに少しずつ半訳していく予定。まずは序文のみ半訳のrev.1からアップしておく。

教皇フランシスコ:10月4日に使徒的勧告『2nd ラウダート・シ』発行予定

標記のニュースが飛び込んできた。Vatican News 30 August 2023. 11:52 以下半訳。


バチカンニュース 2023年8月30日 11:52

8月30日水曜日パウロ6世ホール。フランシスコ教皇は、毎年9月1日に設定されている「被造界を大切にする世界祈願日」を前に、今年のテーマを “Let Justice and Peace Flow”(正義と平和を大河のように)とすることをアピールした。

教皇は、the Season of Creation(「被造界の季節」エキュメニカル行事)が、この9月1日から10月4日(アッシジの聖フランシスコの記念日)まで設けられていることも付言した。

また既に8月21日、欧州委員会各国の法律家代表団を迎えた際にアナウンスしたことだが、来る10月4日に、回勅ラウダート・シの2nd Partを発行することを明らかにした。

環境的不正義の犠牲者の側に立つ

「その日に私は、使徒的勧告『2nd ラウダート・シ』を発行する計画です」「創造主からの聖なる贈り物である被造界のケアに参画する兄弟姉妹達に、私たちも加わりましょう」と教皇は陳べた。

8月30日水曜日、去る5月に発行した「被造界を大切にする世界祈願日(9月1日)」教皇メッセージの核心部を要約した。

「環境・気候に関する不正義の犠牲者の側に立つ。即ち、私たちの共通の家に対する意味の無い戦争、恐ろしい世界大戦を終わらせるよう努力する。これが必要です。皆さん全てが、私たちの共通の家が再び生命で満ちあふれるよう祈り働くよう強く要請します。」

public訳註1 policyの変革

上記メッセージで教皇は、「私たちの心、私たちのライフスタイル、私たちの諸社会を支配するthe public policies、これらを変革する」決意が必要だと陳べた。

更にエコロジカルな回心の話題に戻し、最早被造界を、搾取の対象ではなく、「創造主からの聖なる贈り物として」保護すべきa realityだと考える必要があると陳べた。

「被造界を大切にする世界祈願日(9月1日)」教皇メッセージは、「私たちの諸社会を統治し、今日と明日のyoung peopleのlivesを形作ることになるthe public policiesを変革する」必要について強く主張している。

フランシスコ教皇はsynodalityの重要性を強調し、彼の希望をこう陳べ祈りを捧げた。「この被造界の季節に私たちは、シノドスの旅に共に参加するキリストに従う者として、祈り、働き、生活し、そうして私達の共通の家が再び生命で満ちあふれますように」と。

__________
訳註1)このpublicを「公共」と和訳するのは不適切。ここで示した様にフランシスコ教皇は、形而上概念を重視するpeoplesと、形而下概念を重視するIndividualsの二種類の集団が「拮抗併存」してpublicを形成すると考えている。日本語の「公共」には、この様な「重なる部分と重ならない部分が拮抗併存する二重構造」の意味は無い、または、薄い。


20230908追記:一般的に、creationの和訳としては「被造物」「被造界」の二つが考えられる。the Season of Creation、the World Day of Prayer for the Care of Creation、これらで使われているcreationの和訳として「被造物」「被造界」のどちらが適切だろうか。日本のラウダート・シ デスクでは「被造物」を採用している。しかし、上記半訳原英文の中程で教皇は、no longer consider creation as an object to be exploited, but as a reality to be safeguarded “as a sacred gift from our Creator”と陳べている。これは、「最早被造界を、搾取の対象ではなく、「創造主からの聖なる贈り物として」保護すべきa realityだと考える必要がある」と和訳するのが自然。…訳者としてはこのように考え、上記半訳のcreationの訳語を「被造界」に統一して訂正した。